肥満が加齢による骨格筋の衰えを悪化させる

 サルコペニアという年老いる(加齢)と骨格筋量が減る現象がこれまで問題視されています。その一方で、近年ではダイナぺニアという筋肉の質の障害にも注目が集まっています。これは例えば加齢によって同じ筋肉の量であっても発揮する筋力が低下する現象です。

 実際に加齢による筋力の低下が筋量の低下よりもその差が大きく、サルコペニアとともにダイナペニアにも加齢の研究で焦点を当てる必要性があることを示しております。私たちはこのダイナペニアに肥満が起こす筋力低下が悪影響を及ぼすのか?という疑問を実験的に検証しました。

 マウスに高脂肪食を加齢になるまで摂取させ、加齢肥満になった状態で骨格筋の筋力を測定しました。若年肥満モデル、加齢正常モデルは若年モデルと比較して発揮筋力の有意な低下が見られました。さらに、加齢肥満モデルでは、これらの値がより顕著に低下しており、加齢肥満時では発揮筋力の低下が助長されることが考えられますEshima H, (2020), J Appl Physiol.)。

  加齢肥満マウスの骨格筋のCa2+を測定すると、加齢肥満モデルでは、他のグループよりもCa2+レベルが顕著に低下していました。これは、肥満、または加齢の要因がCa2+の放出能を低下させ、両方の要因が相加的に働く可能性が考えられます。

  加齢肥満マウスの骨格筋の脂質の量や大きさを測定すると、加齢肥満モデルが最も値が高い結果が得られました。これは肥満、または加齢による脂質のたまりが筋力低下やCa2+の放出能の低下に関係するかもしれません。

 骨格筋の中の脂質を減らすには運動や食事の改善が有効であることがいわれています。今後、どのような運動や栄養を食事としてとることで肥満や加齢の筋力低下を改善できるのか検証することが課題です。