運動が糖尿病による筋質低下を改善するメカニズムを明らかにする

 身体を動さなくなる(身体不活動)と骨格筋の量が減り、寝たきりのリスクが高まります。病気に陥ったり、加齢が進むと身体不活動化がより起きやすく骨格筋の量と質が低下しますが、それを予防・軽減する最も有力な効果を発揮するのが日々の運動です。

 肥満や糖尿病の生活習慣病においても運動は有効な療法と認識されています。私達の身体にはインスリンによって上手く血液の糖が上がらないようにコントロールされています。しかし、糖尿病になるとインスリンが上手く働かず、筋肉などの組織に糖が取り込めなくなり、血中の糖が上がってしまいます。この血中の糖を減らす手段として運動が推奨されています。

 

 例えば、ウォ-キングなどは血中の脂肪酸のみを優先的に消費しますが、ジョギングなどの運動は筋肉の糖質も優先的に消費します。つまり、運動が筋肉の中の糖質を減らすように働きかけることが、運動がなぜ糖尿病に有効であるのかという理由です。

 私たちも肥満糖尿病による筋力低下における運動の効果を検証しました。筋力とCa2+レベルが低下する肥満2型糖尿病マウスに継続的に運動させるとCa2+レベルが運動をしていないときよりも高い値を示し、正常の健康なマウスと同様の値を示す結果となりました。

 継続的に運動を行った肥満2型糖尿病マウスはCa2+レベルの低下の改善とともに筋力低下も改善されることを明らかにしました(Eshima H, (2019), J Appl Physiol.)。

 これは、運動が肥満や糖尿病による筋力低下を改善させる理由にCa2+が関係することを表しています。また、運動が糖尿病の血糖を減らす効果とともに筋力低下にも予防的な効果を果たす運動療法の新しい知見を示すものとなります。

 健康で若々しく生活する健康寿命の延伸を目指す上で、運動を行い身体不活動を減らすことが推奨されています。運動実施を普及するためにも運動が健康を促進するエビデンスをより理解してもらえるよう基礎的知見を提供することが今後より必要となります。そのために私たちは動物実験などを対象として何故運動が健康を獲得するのか?という疑問を明らかにすることを課題にしています。